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用語集

インド初期洋風画

リアルに描く神々

インド近代絵画史上で著名な画家にラージャー・ラヴィ・ヴァルマー(1848~1906)がいる。彼は西洋アカデミズムの様式で肖像画や神話的主題を描いて人気作家になり、国宝級画家としてその作品は今でも国外持ち出しが制限されている。このようなアカデミズムは1860年代にインド各地に設立された美術学校で教えられたが、そのうちのボンべイのサー・J. J.美術学校で学んだ画家のひとりがこのマハーデーヴ・ヴィシュヴァナート・ドゥランダール(1867~1944)であり、彼はインド人として初めて同校の校長を務めるほどの評価を得た。このような絵画は、インドの伝統を破壊したものとして、のちに批判の対象になるが、伝統的主題を西洋画法で描く矛盾に苦闘したアジア各地の初期洋画(日本では原田直次郎[1863~1899]ら〈明治美術会〉の画家)との比較研究においても、また、現在も観光客の定番おみやげになっている安値なヒンドゥー神のポスターの源流としても興味深いものである。

モティラル・パル 《サルパヤジュニャの供儀(蛇の生け贄の儀式)》 1918―20 油彩・画布

マハーデーヴ・ヴィシュヴァナート・ドゥランダール 《トリヴェーニー・サンガムのカーリー女神》 制作年不詳 油彩・画布

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