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用語集

リキシャ・ペインティング

夢に乗る

バングラデシュの都市の庶民の足として日常的に使われている自転車タクシーを、リキシャと呼ぶ。その名のとおり、日本の人力車がルーツで、明治時代にアジア各地へ広まり、ダッカには1930年代に伝わったとされる。アジアの「トラフィック・アート」のなかでも、バングラデシュのリキシャは、車体へのビニール装飾、背面や幌の絵など、独自の造形と過度な装飾をもつ点で特異な展開をした。とくにリキシャの背面に取り付けられたブリキ板には、映画スターや宗教的なモチーフ、都市や農村風景、また各時代の政治社会情勢を反映して戦争や災害、政治家なども描かれた。これを「リキシャ・ペインティング」と呼ぶ。リキシャが「アート」として注目を集めるようになったのは、1988年にロンドンの人類博物館で開催された「トラフィック・アート」展がきっかけで、1994年には福岡市美術館でも「リキシャ・ペインティング」展が開かれた。国外での評価を受けて、バングラデシュ国内でも再評価が進んだ。

サイード・アハメッド・ホセイン 街の動物たち 1994 油性ペイント・ブリキ

ラジ・クマール・ダス(絵)、ガッファール工房(車体製作)  リキシャ 1994 エナメル絵具、ビニール、竹、ブリキ、金属、写真、自転車

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