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用語集

ガンゴー・ヴィレッジ・アート・グループ

ミャンマーで始まった美術の実験

ラングーン文理科大学(現在のヤンゴン大学)の自主組織である美術センターに集った諸大学の学生、卒業生らを中心に結成されたミャンマー最初期の現代美術グループ。グループ名の「ガンゴー」(和名:セイロンテツボク)とは、ヤンゴン大学構内にたくさん植えられた常緑高木のこと。

1979年の「ガンゴー・ヴィレッジ美術展」を機に結成され、ビルマ式社会主義の独裁体制のなか、毎年展覧会を開催。1988年の大規模民主化運動以後は、大学の美術センターも閉鎖され10年余り中断したが、メンバーが密に連絡をとることでグループ自体は存続しつづけ、2000年に再開し現在に至る。「村長」が展覧会運営を取りまとめ、「村民」がともに食べ、議論しあう家族的信頼関係で結ばれた共同体であった。1980年代のミャンマーは、社会主義軍政下であり、欧米の新しい美術動向を取り入れることは政権を転覆させる危険な思想を持つ者だと見なされかねず、厳しい検閲が敷かれた。海外の美術情報が得にくい時代に、ガンゴー・ヴィレッジのメンバーたちは、独力で実験的な美術を切り拓き、抽象画やインスタレーション、パフォーマンスなど自由な表現を模索した。アウンミンサンミンら現代美術を牽引した美術家を輩出し、1980-90年代のミャンマーに現代美術を紹介した役割は大きい。

第1回展集合写真(1979年)

サン・ミン「屋台」(YMCA/ラングーン、1983年) 撮影者不詳 提供=サン・ミン

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