ズーンと引っ込む不思議な光景
浮絵は、西洋の遠近法(透視図法)を極端に用いることで、近景を浮き出しながら深い奥行きを感じさせるように仕立てられた絵で、彩色は淡く、遠近をつくり出す線が強調されている。日本でも江戸時代に清朝からもたらされており、浮世絵の一ジャンルとして展開した。レンズ越しに見る眼鏡絵の場合は、原画や文字が左右反転して描かれる。中国の浮絵の題材には、中国式の楼閣や庭園、西洋風の建築など、遠近法を強調して描きやすいものが多く選ばれているが、河岸の風景や中国風俗なども取り上げられた。
作者不詳(浮絵) 《西洋風楼閣の図 I》 18世紀 彩色・紙
作者不詳(浮絵) 《街中の図》 18世紀 彩色・紙