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用語集

13人の現代人たち

フィリピン近代美術の開拓者たち

若きヴィクトリオ・エダデス(1895~1985)、後の「フィリピン近代絵画の父」が、アメリカ留学から帰国したのは1928年のことであった。彼は、ガロ・オカンポ(1913~1985)とカルロス・フランシスコ(1912~1969)とともに「三人組」を結成し、モニュメンタルな壁画をいくつも描いた。また「近代美術画塾」を創設し、さらにそれを母体に「この国に近代美術を促進する強力な組織を形成する」(エダデス)ために、1937年に同志とともに〈13人の現代人たち(サーティーン・モダーンズ)〉を結成し、定期的にレストラン「象牙の塔」で会合を開いた。この集まりは、日本の占傾によって会が自然消滅するまで続いた。メンパーには、三人組のほか、H.R.オカンポ(1911~1978)、ヴィセンテ・マナンサラ(1910~1981)、セザール・レガスピー(1917~1994)、アニタ・マグサイサイ=ホー(1914~2012)ら、やがてフィリピン近代美術を体視することになる顔ぶれがそろっていた。彼らは、それまで主流だったフェルナンド・アモルソロ(1892~1972)らの、スペイン風のアカデミックな様式で描かれたエキゾティックな田園風景を駆逐して、フィリピンの現実と向き合い、モダニズムヘの第一歩を力強く踏み出した。

ヴィクトリオ・エダデス 《母と娘》 1926 油彩・画布

カルロス・フランシスコ 《教育による進歩》 1964 油彩・画布

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