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用語集

ドンホー版画

民衆の願いをこめて

ベトナム北部のドンホー村で制作されてきた伝統的な多色刷り版画。17世紀頃に起源をもつ。もともとは収穫の終わった農民たちが、旧正月(テト)を祝うために制作した民衆版画だったが、現在では版画を生業にする職人が通年で制作している。一般的には木の皮から作られた「ゾー」という手漉きの紙に、まず下地を施し、色ごとに異なった版木と黒い輪郭線を付ける版木によって多色刷りされる。下絵、彫り、刷りの工程は分業化され、版木や絵柄はそれぞれの家に伝承されたという。伝統的には、新年を祝う縁起のいい題材や神仏、田舎の生活風景などが描写されてきたが、第一次インドシナ戦争(1946~54年)以後、次第にベトナム民主共和国の政治的なプロパガンダにも利用されるようになり、ホー・チ・ミンや兵士の姿などがしばしば登場した。

作者不詳(ドンホー版画) 《文明進歩(男女と自転車)》 制作年不詳/2010年(再刷) 木版・紙

グエン・ダン・サン 《落ちた米軍機を運ぶ 制作年不詳/2010年(再刷)》 木版・紙

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