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用語集

カーリガート絵画

早描きの寺院みやげ

19世紀のインドのベンガルの村には、ヒンドゥーの神々やイスラームの聖者、神話などを描いた縦方向の絵巻物(ポト)を手に、絵語りをするポトゥアと呼ばれる絵師が活躍していた。英領インドの首府コルカタが経済や文化の中心として繁栄するにつれ、活躍の機会を求めた絵師たちがコルカタのカーリガート寺院(1809年創建)周辺に集まるようになり、当初は寺院の参拝客向けに宗教画を描いた。絵師たちは、植民地化とともに導入された西洋の遠近法や陰影法を伝統的なポトに取り入れた独自の様式を生み出した。これをカーリガート絵画と呼ぶ。ヒンドゥーの神々などの宗教的なテーマだけではなく、犯罪事件や恋愛騒動といった世俗的な題材、風俗なども描かれた。一筆描きのようなシンプルで素朴な民衆画として、イギリス人たちの本国への土産物ともなった。また、インド固有の民俗性を示す絵画として評価され、インド近代美術にも影響を与えた。

作者不詳 《ガルダを伴うヴィシュヌとラクシュミー》 19世紀後半 水彩・紙

作者不詳(カーリーガート) 《ペットの恋人をつれた女性》 20世紀初頭 水彩・紙

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