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用語集

ヴァルマー・プリント

近代の技術で描くインドらしさ

ラヴィ・ヴァルマー(1848~1906年)は、19世紀後半に活躍したインド近代美術のパイオニア。インドの神話やヒンドゥー教の神々の姿を、西洋絵画の遠近法や陰影法などを用い、油彩による写実的な様式で描き出した。イギリスの植民地支配とともに導入された美術学校や展覧会などの近代的な美術制度のなかで高く評価され、インド各地の宮廷でも名声を博した。また、1892年にはボンベイ(現・ムンバイ)にラヴィ・ヴァルマー印刷所を設立し、油彩画をオレオグラフ(石版リトグラフの一種)で大量に印刷した。狭義ではヴァルマーの原画による印刷物をヴァルマー・プリントと呼ぶが、この印刷所で刷られた他の美術家の原画による印刷物を含めて総称することもある。印刷物はインド各地の幅広い層に普及し、大衆の圧倒的な人気を得た。とくに神像が正面を向いて描かれた絵画は、鑑賞用ではなく神と信者が見交わすことができる宗教画とみなされ、印刷された神像が布や金属片で装飾された。

ラージャー・ラヴィ・ヴァルマー 《ハンサとダマヤンティー》 20世紀前半 オレオグラフ・紙

ヴァスデオ・ H. パンディヤ 《クリシュナとゴーピーたち》 20世紀初頭 オレオグラフ・紙

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