シンガポール現代美術の実験場
シンガポールの美術家のグループ(以下、TAV)。1988年に英国留学を終えたタン・ダウがロロン・ガンバスの広大な養鶏場を借りて若い美術家を集めて展覧会やパフォーマンス、討論の場としたことから始まる。1990年には当初の場所を再開発のために失い、以後拠点を移していくが、1992年に法的に美術団体として登録されて以後は写真や映像を含む展覧会や芸術祭、企画や調査など多様なプロジェクトを展開し、ヨーロッパやアジア各地からも展覧会等に招待されるようになった。シンガポールで初めて本格的にインスタレーションやパフォーマンスを展開し、美術家に実験の場を提供することで同国における現代美術の歴史に大きな足跡を残した。2008年にはシンガポール美術館で20年の活動の回顧展が開かれたほか、TAVの記録はコー・グエンハウによって国際的に紹介されている。リー・ウェンやアマンダ・ヘン、ザイ・クーニンら国際的に活躍した作家や、 アートスペースの運営やプロジェクトをおこなう作家たちを輩出し、現在(2022年6月現在)も19人前後のメンバーがTAVとして活動しているように、TAVの活動は今もなおシンガポール美術界に生きている。
パンフレット1 Courtesy of Koh Nguang How
パンフレット2 Courtesy of Koh Nguang How
タン・ダウのパフォーマンス《ついに母はキャットフードとドッグフードを食べることにした》(1989年12月31日ロロン・ガンバスでの「タイム・ショー」)photo by Koh Nguang How
リー・ウェンによる詩の朗読(1990年1月1日ロロン・ガンバスでの「タイム・ショー」)photo by Koh Nguang How