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用語集

油彩画(中国)

中国油彩画史はイエズス会宣教師が17世紀初頭に西洋絵画の知識を伝えたことに始まる。18世紀中頃には広州で欧米向けの輸出用油彩画が中国人画工によってつくられるようになり、19世紀中頃には上海で宣教師が設立した土山湾画館でキリスト教の図像が制作された。20世紀に入ると日本や欧州留学から帰国した作家たちが近代美術教育の整備に尽力しながら独創性を重視した作品を発表、中国独自の「近代美術」創出を目指した。解放後(編注、1949年の中華人民共和国成立後)は、徐悲鴻(シュ・ベイホン)を中心にソ連を参照した社会主義リアリズムを柱とする様式が打ち出されるが、60年代には年画木版画に由来する輪郭の強調や平面的な表現を表現に取り入れるなどの試みも行われた。改革開放以後は、世界の近現代美術に関する情報が流れ込み、画家はそれらの消化と自己の表現の再獲得という作業を経ていまに至る。(堀川理沙)

初出=「作品ジャンルで知る中国美術」、特集「入門★中国美術」、『美術手帖』887号(2006年10月号)、75頁

 

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