年表一覧｜調べる｜アジア美術資料室

1900年

10月日本

女子美術学校

女子美術学校が東京に開校。

1901年

12月22日インド

R.タゴールの学校

ラビンドラナート・タゴールらがシャンティニケタンにビスワ・バラティ（現・ビスワ・バラティ大学）開校。

1902年

1月6日インド

岡倉天心、タゴール家と交流

岡倉天心がカルカッタ(現・コルコタ）を訪れ、タゴール家に滞在。
アバニンドラナート・タゴール、ガガネンドラナト・タゴールらベンガル派画家に会い、日本画の画風を伝える。ブッダガヤ、ベナレス、アジャンター、エローラなどインド各地を旅行。

1903年

インド

「東洋の理想」出版

岡倉天心「東洋の理想」をカルカッタで出版。冒頭の「アジアは一つ」は有名。

1903年

2月13日インド

大観・春草のインド旅行

横山大観、菱田春草がベンガル滞在。
タゴールとその周辺の人々に日本画の技法を伝える。カルカッタ（現コルカタ）のランドロード倶楽部で展覧会を開き、作品を販売。

1906年

中国

中国で近代的美術教育始まる

両江師範学校（南京）に図画科設立（近代美術教育の始まり）。

1906年

3月インド

勝田蕉琴、カルカッタで教える

勝田蕉琴、カルカッタ官立美術学校の日本画教授となる。

1906年

9月日本

李叔同、東京で学ぶ

リー・シュトン（李叔同）が東京美術学校西洋画科に入学し黒田清輝に学ぶ。

1907年

インド

タゴール一族の美術活動

アバニンドラナート・タゴールとガガネンドラナート・タゴールが〈インド東洋美術協会〉を設立、西洋のアカデミックな様式に対抗。

1907年

日本

アジア作家、日本に留学可能に

東京美術学校に図画師範科が設置される。同科の卒業生が朝鮮や台湾などの初等・中等・高等教育の現場に赴任し、日本の美術の現状や日本留学の情報源ともなった。

1907年

タイ

タイ美術の西洋化

チュラーロンコーン王が2度目のヨーロッパ旅行。1897年続き随行したルアン・ソンラックリキットが長期滞在し画技を磨き、帰国後に油彩画の宮廷画家となる。1910年の帰国後に宮廷画家として油彩画を制作。

1907年

10月25日日本

日本政府の公募展始まる

「第1回文部省展覧会（文展）」（10.25-11.30　東京勧業博覧会美術館）開催（1918年の第12回まで継続）。

1907年

11月台湾

石川欽一郎、台湾で教える

石川欽一郎、台湾に渡り、総督府翻訳官兼台北中学と国語学校の美術教師になる。

1909年

日本

朝鮮作家の東京留学

大韓帝国宮内府礼式官コ・フィドンが官費留学生として朝鮮人として初めて東京美術学校入学。

1909年

9月日本

コ・フィドン、日本留学

高羲東（コ・フィドン）、東京美術学校西洋画科（実技中心の編入班選科）入学。1915年に卒業し帰国。

1910年

8月29日 Korea

日韓併合

「韓国併合ニ関スル条約」による日韓併合。

1911年

タイ

日本作家のタイ赴任

漆工芸作家の三木栄が東京美術学校卒業後、タイ芸術監督技師として勤務。
のちポーチャン美術学校校長に就任（1940年まで）。

1911年

3月22日韓国

朝鮮の美術学校

ユン・ヨンギが京城書画美術院を開設。イ・ワンヨンが引き継ぎ、講習所（修業課程3年制）を開設。

1911年

9月日本

キム・グァンホ、日本留学

金観鎬（キム・グァンホ）、東京美術学校入学。1916年3月に卒業。

1911年

10月10日中国

辛亥革命

辛亥革命が始まる。

1911年

11月23日中国

上海の美術学校

リュウ・ハイス（劉海粟）が上海図画美術院を創設。

1911年

12月1日モンゴル

モンゴル独立への動き

辛亥革命の影響により清朝からの独立を宣言、活仏ジェブツェンダンバ・ホトクト8世を皇帝とする。
しかし中華民国・ロシアの圧力で独立は認められず、宗主権を握った中華民国が自治のみ承認。

1912年

タイ

タイ政府に芸術振興部

宮内省内に芸術局設立。近代国家における芸術振興の制度的第一歩。

1912年

1月1日中国

中華民国成立

中華民国成立、孫文が臨時大総統となる。

1912年

2月中国

上海で初の西洋画展

上海図画美術院の授業が始まる。
夏に開いた学生の第1回展は上海で初めての大規模な西洋画の展覧会となる。

1912年

5月9日中国

中国政府、「21か条要求」受諾

袁世凱が日本の「21か条要求」を受け入れる。

1913年

1月7日タイ

タイの美術学校

ポーチャン美術学校がバンコクに開設。教員や職人を養成する技術的な訓練所。

1914年

インド,パキスタン

パキスタンの美術教育

サマレンドラナート・グプタがマヨ美術学校の副校長に就任（1929–42年には校長を務める）。
ベンガル派の技法をラホールに伝える。また1921年にラホール博物館のキュレーターを務める。

1915年

10月日本

黄土水、日本留学

黄土水、渡日し東京美術学校入学。1920年に卒業。22年に研究科卒業。

1915年

12月日本

劉錦堂（王悦之）、日本留学

王悦之（劉錦堂）、渡日し川端画学校入学。翌年3月に東京美術学校西洋画科入学。

1916年

日本

中国人留学生による団体

日本で美術を学ぶ中国人留学生が「中華美術協会」結成。

1916年

5月29日日本

R.タゴール来日

ラビンドラナート・タゴール来日(5.2–9.2)。
講演会や日本美術院でインド絵画が紹介されタゴール・ブーム。

1916年

10月14日日本

朝鮮作家、日本で受賞

「第10回文部省美術展覧会（文展）」（10.14–11.20　竹之台陳列館／東京）でキム・ウンホが卒業制作《夕暮れ》で特選。
キムは帰国後にピョンヤンで朝鮮人初の油彩画個展を開催。

1916年

12月29日インド

荒井寛方、カルカッタで教える

荒井寛方、ビジットラ美術学校で、タゴール一家やノンドラル・ボシュらに絵画教授を始める。

1917年

インドネシア

日本作家、インドネシアへ

森錦泉がジャワに移る。

1917年

台湾

郷原古統、台湾へ

郷原古統、台湾を訪れ、台中一中で教職に就く。

1917年

10月ロシア

ロシア革命

ロシア革命（十月革命）、ボルシェビキが政権掌握。

1918年

カンボジア

カンボジアの芸術学校

宮殿にあった工房の管理を引き継いだフランス学者ジョルジュ・グロスリエが「純粋クメール美術」の保存と推進のためカンボジア芸術学校（現・王立芸術大学）を創立。

1918年

4月15日中国

中国で最初の国立芸術学校

国立北京芸術専科学校開校。
中国で最初の国立芸術学校となる。

1918年

5月19日朝鮮

朝鮮最初の美術団体

朝鮮書画協会創立。
初代会長はアン・ジュンシク。

1919年

3月1日韓国

朝鮮の独立運動に参加した画家

三一独立運動。画家のオ・セチャン、キム・ボクジン、アン・ジュンシク、ナ・ヘソクが参加、懲役3年-3か月の判決を受け投獄される。

1919年

5月4日中国

五・四運動始まる

ベルサイユ講和会議で「対華21か条」の取り消しを求めた中国の要求が退けられ、学生の抗議デモ、のち排日デモが全国に波及。
これを契機に新文化運動（五・四運動）が始まる。

1919年

10月14日日本

帝展始まる

「第1回帝国美術院展覧会（帝展）」（10.14-11.20　竹之台陳列館／東京）開催。
以後、第15回展（1934年）まで継続、翌年改組される。

1919年

11月韓国

〈高麗画会〉発足

美術教育機関として〈高麗画会〉発足（YMCA会館／ソウル）。
高羲東、山本梅涯、高木背水らが顧問兼講師を務め、のち具本雄が会員になる。

1920年

1月中国

上海の美術学校再編

上海図画美術学院が上海美術学校に改称。
中国画科、西洋画科、工芸図案科、彫塑科、高等師範科、初級師範科を設置。

1920年

4月中国

上海の美術雑誌

上海美術学校が始めた雑誌社が月刊誌『美術』を創刊。
近代ヨーロッパの芸術・美術を紹介し続け、芸術志望の若者を啓蒙。

1920年

9月日本

キム・ボクジン、日本留学

キム・ボクジン（金復鎮）、総督府官費生として東京美術学校彫刻科彫塑部入学。建畠大夢の指導を受ける。1925年3月卒業。

1920s年

中国

カレンダーポスター最盛期

1920年代、カレンダーポスターが栄える。

1921年

インド

ジャミニ・ロイと民族芸術

ジャミニ・ロイがカーリーガート絵画や部族芸術の伝統を使い始める。

1921年

スリランカ

スリランカの反アカデミズム

C.F.ウィンザーがセイロン美術協会のアカデミズムに対抗して〈セイロン美術クラブ〉を創立。

1921年

韓国／北朝鮮

柳宗悦、朝鮮民族美術展開催

柳宗悦、朝鮮民族美術館主催で朝鮮民族美術展覧会開催（流逸荘／東京）。

1921年

4月台湾

日本作家、台湾に赴任

塩月桃甫が台湾に渡り、台北第一中学校の教諭となる。
翌年に台北高等学校の教諭を兼任。

1921年

7月1日中国

中国共産党

中国共産党成立。上海で第1回代表大会を開く。

1922年

中国

強烈なモダニズム展

夏、陳抱一ら日本留学の画家4人と小森猛による〈芸術社〉の絵画展が上海で開催。強烈な現代的表現が注目される。

1922年

4月26日中国

広州の美術学校

広州美術学院創立。西洋画科のほか1927年から中国画科を設置。

1922年

6月中国（旧「満洲」）

山脇信徳、奉天へ

山脇信徳、奉天に渡り、奉天中学校職員および南満中学堂嘱託となる。
渡仏のため退職する1925年まで、現地を代表する画家の一人として活動した。

1922年

6月1日韓国

鮮展始まる

「第1回朝鮮美術展覧会（鮮展）」（6.1–6.21　朝鮮総督府商品陳列館／京城［現ソウル］）開催。
以後、第23回（1944年）まで継続。

1923年

シンガポール

シンガポールの学校で英国式美術教育始まる

リチャード・ウォーカーがシンガポールの教育局に就任、学校での美術教育を発展させる。

1924年

日本

廖繼春と陳澄波、日本留学

廖繼春と陳澄波が東京美術学校図画師範科に入学する。

1924年

1月台湾

日本作家、台湾での教育再開

石川欽一郎が再び台湾に渡り、台北師範学校の教師に就任。

1924年

10月15日日本

第5回帝展

第5回帝展（10.15–11.20　竹之台陳列館／東京)
黄土水の彫刻作品《郊外》が入選。

1924年

11月26日モンゴル

モンゴル独立

ソ連の後押しを受けたモンゴル人民革命党によりモンゴル人民共和国独立。

1925年

スリランカ

スリランカの宗教版画

サルリスがリトグラフを発行。

1925年

日本

陳植棋、日本留学

陳植棋、東京美術学校西洋画科に入学する。

1925年

4月日本

陳進、日本留学

陳進、郷原古統の意見を入れ、東京女子美術学校日本画師範科入学。

1925年

9月日本

キム・ウンホとピョン・グァンシク、日本留学

金殷鎬（キム・ウンホ）、卞寛植（ピョン・グァンシク）、東京に留学。

1925年

11月ベトナム

ベトナム最初の美術学校開校

インドシナ美術学校がハノイに設立（1945年まで）。フランス人画家ヴィクトール・タルデューが初代校長となる。

1926年

韓国／北朝鮮

第１回朝鮮美術協会洋画展

第１回朝鮮美術協会洋画展結成。韓国人美術家18人が賛助会員。第１回美術展には日韓の美術家が参加。
総督府図書館

1926年

10月16日日本

帝展の朝鮮・台湾作家

第7回帝展（10.16–11.20　東京府美術館）岡崎公園第二勧業館に巡回（11.27–12.11）
金殷鎬（キム・ウンホ）が日本画部で朝鮮人として初入選。陳澄波作《嘉義の町はづれ》入選。

1927年

ベトナム

ハノイの美術学校で漆コース

ジョゼフ・アンガンベルティがインドシナ美術学校で漆芸コースを開講。
女性教師エリス・エーメの協力を得て指導にあたる。

1927年

中国

芸術教育科で徐悲鴻が教える

国立中央大学（南京）が芸術教育科を設立、徐悲鴻が主任を務める。

1927年

4月12日中国

蒋介石の反共クーデター

蒋介石が上海で反共クーデターを断行。国民党左派・共産党員多数を処刑。

1927年

5月中国

激烈なスローガンの芸術大会

北京芸術専科学校主催で「北京芸術大会」開催、展示、舞台芸術発表。
「模倣的伝統芸術打倒！貴族的な少数が独占して享受する芸術打倒！創造的で時代を代表する芸術を！全民衆の各階級がともに享受する芸術を！」などのスローガンを掲げる。

1927年

10月16日日本

帝展再編

第8回帝展（10.16–11.20　東京府美術館）岡崎公園第二勧業館に巡回（11.27–12.11）
第四部（美術工芸）が新設される。また、第二部（西洋画）が創作版画の出品を受け入れる。
陳澄波《街頭の夏気分》（現在は《夏日街景》に改名）が入選。

1927年

10月28日台湾

台展始まる、「台展三少年」入選

「第1回台湾美術展覧会（台展）」（10.28–11.6　樺山小学校／台北）開催。
以後、第10回（1936年）まで継続。陳進、林玉山、郭雪湖が入選し、台展三少年と称された。

1928年

ネパール

ネパール画家の初個展

チャンドラマン・シン・マスケがカトマンズで初個展を開催。

1928年

3月中国

杭州の美術学校

国立芸術院が杭州に創立。
蔡元培が式典に出席。林風眠が校長。西洋美術と中国美術との調和した時代を表現する創造性を志向。1929年10月、国立杭州芸術専科学校に改称（現・国立芸術院）。

1928年

6月4日中国

奉天事件

張作霖爆殺事件(奉天事件）。

1928年

8月中国

〈芸術運動社〉の活動

国立芸術院創立の教師らが〈芸術運動社〉結成。
林風眠、王子雲、李朴園を責任者とする。伝統派芸術の価値を否定し新時代美術の創造を求める。10月に『アポロ』創刊。中国現代美術と西洋芸術の紹介に重点を置く（1936年停刊）。

1928年

12月フィリピン

フィリピン画家、アメリカから帰国

ヴィクトリオ・エダーデスが米国からの凱旋帰国展（フィリピン・コロンビア・クラブ／マニラ）を開催。

1929年

中国

上海の写真家団体

郎静山らが上海で〈中華撮影学社（華社）〉を設立。

1929年

日本

李梅樹、日本留学

李梅樹、東京美術学校西洋画科に入学する。

1929年

1月22日中国

〈一八芸社〉結成

胡一川、陳鉄耕ら国立芸術院の学生が〈一八芸社〉結成（1933年2月解散）。

1929年

3月日本

陳進、日本画学習を続ける

陳進、東京女子美術学校卒業。松林桂月の紹介により鏑木清方に入門、伊藤深水、山川秀峰の指導を受ける。

1929年

4月10日中国

中国初の全国美術展

「教育部全国美術展覧会（第1回全国美術展）」開催。
中国初の全国美術展。書画、金石、洋画、彫塑、建築、工芸、美術撮影、ほか日本など海外作品80点が出品される。郎静山が美術撮影部門の審査員を務める。会期中に徐悲鴻、徐志摩らによる写実と表現のどちらを重視するかという「二徐論争」が起こる。